大和レジデンスオーナーの独り言 (31) 人類の限界へ 「新老人」
六月になって正月以来久しぶりに我拝師(がはいし)山の禅定寺まで
登山を復活した。きっかけはあのニュースである。
先月23日三浦雄一郎氏が80才7月という世界最高齢で世界最高峰エベレストの
登頂に成功した。記録更新を目指したネパール人登山家(71才、76才と二度に
わたり三浦雄一郎の最高齢の記録を塗りかえた)も今回は失敗に終わった。
文字どおり人類の限界を超えた世界最高峰の記録であり、もしそれを破るとした
ら三浦雄一郎自身であろう。
エベレストの頂上は想像を絶する世界だ。若い人でも死と隣りあわせの命がけの
世界。事実三浦氏も失敗したら墓標となってもいいと死を覚悟のチャレンジだった。
50代前半で世界七大陸最高峰でのスキー滑降を成し遂げ冒険に幕を閉じたかに思え
た。しかし65才のメタボで500メートルの高さの登山にダウンした時から再び「70
でエベレストを目指す」チャレンジが始まった。手術や持病を抱えつつサブリのコマ
ーシャルでお馴染みの足の重りと20キロのリュック姿は見たことがあるだろう。
何がそこまで駆り立てるのだろうか?
「好奇心。年齢を超えて自分がどこまで出来るか」「人間は80でもエベレストに登
れる可能性を持っている」という。
いいかえると「年齢に対する挑戦」といえる。今回の挑戦は終わり次の目標を目指す。
このチャレンジは私達に二つの事を示してくれた。
世の中高齢化社会に入り「介護」「老後の不安」「孤独死」と長生きという本来めで
たい事がマイナスのイメージが付きまとう。
今回の快挙はそういった高齢者のイメージに変革をもたらすものであり「リタイヤ」
「隠居」 「老後」そういう概念とは無縁の新人類ならぬ「新老人」の登場を予期さ
せる。
勿論人それぞれに「夢」や「目指すもの」は異なる。でも三浦氏にならって「新老人」
は限界にチャレンジすることだろう。
そして三浦氏の成功の陰には周到な準備と科学を取り入れたトレーニング、食事に始ま
る日常生活の管理、家族の協力、支援者の資金援助その他「成功」を収めるためなすべ
き事は全て行っている
正しい方法論と決して夢を諦めない強い精神力。
チャレンジする者にとって見習わなければならない姿勢だ。
ダスティンホフマンの初監督作「カルテット!人生のオペラハウス」。老がテーマと
なっているこの映画をホフマンは以下のように語っている。
「すべての人が病気や別れといった悩みを抱えつつ、チャレンジしながら人生を送ってい
る。いつまでもベストを尽くす精神をこの映画で表現したい」
チャレンジするに年齢は関係ない。一生懸命頑張るにも年齢は関係ない