大和レジデンスオーナーの独り言 (33) 富士山世界遺産に
6月22日「三保松原」を含め「富士山」が世界文化遺産に登録する事が決ま
った。
遺産の名称は「富士山ー信仰の対象と芸術の源泉」である。
三保松原を含めるについては近藤文化長官等が反対委員会国に対し(最終的に世界遺産
委員会というユネスコの機関が決定する)積極的にロビー活動を行ったそうだ。やはり
こういった場面でも交渉力や政治力が物を言うらしい。
この登録のおかげで早くも三保松原の観光客増による土産物店の売り上げが例年の10
倍になったというからその威光はすごい。いくら経営努力したって10倍は不可能だ。
今回建物や遺跡のほか文化的景観を対象とする「文化遺産」として登録された。
ゴミ問題や登山道など開発が進んでいる等の理由で「自然遺産」では政府の推薦候補に
ならなかったが(新聞に「富士山」は日本人にとって特別の山だから推薦して登録されな
かったら日本のメンツが立たないからと言う理由もあったそうだ)
しかし「文化遺産」登録の方が私は納得できる
富士山そのものを対象とする山岳信仰は古い歴史があるが、日本人は富士山に対して特
別な「思い入れ」(DNAに刻み込まれた)があると思う。
新幹線で静岡を過ぎ新富士駅当たりになると乗客は皆んな同じ方向を向き快晴で全容が
拝めた時は車内に感嘆の声があふれる。
今はどうかわからないが冬になると快晴の日に東京23区のあちこちで富士山が見れたも
のだ。学生時代はじめて歩道橋の上から富士山を見た時の感動は今だに記憶にある。
富士山に魅せられその表情を人生の歩みと共に撮りつづけ描き続ける何万、何十万(もっと
多いだろうが)のカメラマンや画家達。富士山に登ること自体が生き甲斐や生活の一部とな
ってひたすら登山回数を目指す人。
こういった日本人の富士山に対する「畏敬の念」や「思い入れ」も広く信仰と言っていい
だろう。
そして芸術的価値の観点からすれば世界に比べられるものはないだろう。小説や浮世絵を
代表とする絵画や写真集の数の豊富さ。
四季折々に見せる表情。朝昼夜。雨の日、晴れの日、曇りの日とな様々な姿をみせる。
海でも湖でも山々でも都会のビルの間からでもどんな景色だろうとマッチする。
「フジヤマ、ゲイシャ」と昔は欧米から真っ先に日本のイメージとされていたが
このイメージに対して非工業的、非現代的と快く思ってなかかった人達が数十年後「世界
遺産」に登録されたことを知ることができたなら「日本一の山富士山」を美しさや芸術性で
「世界一の富士山」と大威張りで世界中に胸を張るだろう。