カラオケ喫茶 アンソロジーノート (13) 映画音楽「卒業」ほか
昨日の続き…映画史に残る名場面。エレンが婚約者と永遠の口づけを
かわした時。
教会の二階の?外窓からガラスを叩きながら、ベンが叫ぶ。「エレン!エレン!エレン」
見上げるエレン。映画は無音でベンを見上げののしるミセスロビンソン、ロビンソンその他
参列者のアップ。ゆっくりと彼らを見回すエレン。そして再び見上げエレンは応える。
「ベーン!」
そしてベンは花嫁を略奪する。結婚式で花嫁を略奪する場面はこれ以後、韓国や日本その他
映画やドラマで幾度となく模倣される。
日本では何と橋幸夫が花嫁美空ひばりを略奪する映画があったのを覚えている。
現実にはあり得ないことだが、結婚式を妨害すると日本では「威力業務妨害罪」で逮捕される
が映画館ではベン頑張れ!と拍手を送っていた。
略奪に成功し二人は通りかかったバスに飛び乗った。後部座席に座り笑みを浮かべる二人。
そしてバスは二人の幸せを乗せ未来へと運ぶ。…最初観た時はそう思った。
しかし何回か見返すと最初笑っていた二人が、ベンは視線がうつろになりエレンは不安そうな
表情をうかべたままだ。そして周りの乗客は老人ばかり。未来へとバラ色のバスのはずが一変
将来の不安を暗示させる。
面白いもので映画でも小説でも音楽でも見返したり、読み返したり聞き直しするたびに新しい
発見をする事がある。
そしてエンディングテーマにオープニングと同じように「サウンド-オブ-サイレンス」が流れる
サイモン&ガルファンクルの素晴らしい歌声と美しいメロディが合わさって素晴らしい映画となった。
ベンの役は最初はロバートレッドフォードの予定だったが「童貞の役は出来ない」ということで
ダスティンホフマンに代わった訳だが適役だった。
後にレッドフォードとキャサリンロスが「明日に向かって撃て」で共演することになるのも何かの
縁だろう。
60代後半から70年代いわゆる「ニユーシネマ」の時代は映画音楽も傑作がいっぱいあった。
又次の機会に。